“まかしく”という言葉が心に残った日

エッセイ
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「まかしくって言葉、知ってっかー?」

先日、塩釜に住む知人と、久しぶりに電話でお話しする機会がありました。その日はゆっくりお話しすることができ、仕事や家族のことから、日々の暮らしのことまで色々な話題が出てきました。

その中でふと、その方がこんなことを言ったんです。

「やっぱり普段はまかしく暮らして、少しずつお金をためてたまに贅沢するのがいいんだよなぁ」
「まかしくって言葉、知ってっかー?」

私はその言葉を初めて聞きました。

質素に」や「つつましく」という意味だよ、と教えてくれました。

その方のお母さんがよく使っていた言葉だそうで、懐かしむような、慈しむような、やさしい声で話してくれたのが印象的でした。

引っ越して思ったこと:「日常」が恋しい

その言葉がすっと心に残ったのは、私自身の今の暮らしと重なる部分があったからかもしれません。

違う記事にも書きましたが、私は今、夫の転勤で引っ越しをしたばかりです。

今まで長く住んできた土地を離れ、作り上げてきた日常が一度すっかり壊れて、今は新しい土地で一から日常を作り直している真っ最中

何でもない毎日って、すごく大切なんだなぁ〜と、引っ越しのたびに思います。

この気持ちは、震災で被災して家が突然無くなった時も痛感したことです。

だから引っ越しの時も、より強くこの気持ちを感じるのかもしれません。

贅沢は「非日常」だからこそ輝く

電話の中で話していた「普段はまかしく暮らしてたまに贅沢をする」という言葉。

それはつまり、質素な“日常”があるからこそ“非日常”が特別に感じられるということなのかな、と感じました。

非日常が続いていると、かえって心が落ち着かなくなるのかもしれません。

今の私の暮らしがまさにそう…慣れない土地で、家の中は段ボールだらけ…(^_^;)

非日常な日々はドキドキや新しい視点や発見ももたらしてくれますが、落ち着かない状況でもあります。

質素な日常を丁寧に大事に生きることができたら、非日常もその分一層特別に感じるのかなぁと想像しています。

まかしく暮らすこと=日常を質素に丁寧に大切に生きること=人生を大事に生きること

なのかもしれない!と、今こうして書きながら改めて思っています。

でも、ネットで調べてみたら…

そんな「まかしく」という言葉。自分の語彙にしたい、普段から使いこなせるようになりたいなと思いました。

その言葉を教えてくれた塩釜の方に「まかしく」の意味調べてみるといいよ〜と言われたので、ネットで調べてみたんです。

すると、「面倒だ」「わずらわしい」といった意味ばかりが出てきて、びっくりしました。

「えっ、あのやさしい響きの“まかしく”が“面倒”? 全然イメージが違う!」と思って戸惑いました。

宮城の方言、じつは意味が地域で違うらしい

いろいろ調べてみると、「まかしく」は宮城県内でも地域によって意味が違うようです。

  • 北部や内陸部では「面倒だ」「やっかいだ」
  • 沿岸部(塩釜、松島など)では「質素に」「つつましく」

つまり、どちらも「正しい」みたいです。
方言には、地域の暮らしや文化が色濃く反映されているから、意味も使い方も、その土地に根ざして自然に変わっていくんですね。

言葉に、暮らしと人がにじんでいる

塩釜の方が懐かしそうに話してくれた「まかしく」。

そこにはきっと、その方自身の暮らしや、その方のお母さんが大事にしていた価値観が込められていたんだと思います。

私は言葉に対して「言葉は時代を反映して移ろいゆくものだなぁ」みたいに感じていて、辞書やネットに載っている意味だけが「言葉の正解」じゃないのかもなぁと考えていました。

しかし今回「まかしく」を知った出来事を通して、言葉に対して「移ろいゆくもの」という考えに留まらず、新たな視点がプラスされました。

言葉には、価値観や生き方、その土地の文化や暮らしも反映されるものなんだなぁということを、実感することができました。

その方は、昔の言葉は大事にしていきたいねと話していました。

私もそう強く感じて、この記事を書くに至りました(^ ^)

まとめ:「まかしく」に込められたやさしさ

「まかしく」は、私にとってただの方言以上の意味を持つようになりました。

  • 普段の生活を大切にすることが人生を大切にすることにつながるかもしれないこと
  • 贅沢(非日常)はたまにあるからこそ輝くということ
  • 何気ない日常の尊さ

暮らしていくこと、生きていくことの美しさを、ひとつの言葉がまるごと教えてくれた気がします。

「まかしく暮らす」ことを大事にしていきたな、この言葉が持つやさしさを忘れずにいたいなぁと思いました。

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